信託報酬はオルカンの方が安いけれど・・・
インデックス投資で大人気のオルカンとS&P500、人気の秘密は「信託報酬の低さ」です。
※信託報酬とは、投資信託の管理や運用のための経費で、投資家が支払い続ける費用のことです。
皆さん、オルカンなど投資信託を購入する際は「信託報酬」を見ると思います。
SBI証券なら、左下の赤枠の部分
楽天証券なら右側の赤枠の部分
この信託報酬、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)だと、
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、
と、どちらもものすごく安いです。
比較すると、オルカンの方がS&P500よりも信託報酬が低い=コストが安い
と思っちゃいますよね。
ところで、「隠れコスト」って聞いたことありますか?
実は隠れコストを考慮した「実質コスト」はなんとS&P500の方が安いのです。
隠れコスト・実質コストの調べ方?
それでは、気になる隠れコスト・実質コストの調べ方です。
実質コストは、ファンドが発行する「運用報告書」に記載されています。
例えば、オルカンだと運用している三菱UFJアセットマネジメントのWebページにあります。
↑右側の「交付運用報告書」のところです。
実質コストの比較
では「オールカントリー」と「S&P500」を比較してみます。
オールカントリーはこちら
S&P500がこちら
これだけじゃあ、よく分かりませんので、並べて見方を説明します。
左側が「オールカントリー」右側が「S&P500」です。
額面のコストが赤い枠で囲われた部分です。
先ほど紹介した「信託報酬」のことで、手数料は、オルカン<S&P500と、オルカン優位に見えますね。
(※オルカンは、昨年度途中に年0.11440%から0.05775%に信託報酬の引き下げを行ったため完全一致しません。)
額面コストと実質コストの違い
注目は、最下段の緑の枠で囲った部分、これが実質コストです。
これが、実際に購入した私たちが払うコストです。
信託報酬+隠れコスト=実質コストとなります。
2つを比べると、「オールカントリー」の方が約0.03%ほど高くなっています。
実質コストは、S&P500<オルカンなのです。
実質コストの差の原因
なぜ実質コストはS&P500の方が低コストなのでしょうか?
この差が出る原因は、手数料や税金の違いです。
特に税金で0.02%の差があり、その他の費用も影響しています。
全世界ファンドは地域が多いため、いろいろな国に投資します。
その分の手数料がかかりやすいのです。
まとめと注意点
実質コストに関しては、確かにS&P500は全世界株ファンドよりも低い傾向です。
しかし、その差はごく小さいため、必ずしも体感できるわけではありません。
100万円預けても年間コストはS&P500が1,040円、オルカンが1,310円とわずかな差しかありません。
自分が信じられる方に投資でOKです。
ちなみに、オルカンとS&P500のおおよその過去リターンは次のようになっています。
(「過去リターンはS&P500の方が良いし、実質コストも低いS&P500最強じゃないか!」と私はココロの中で思いますが、判断は皆さまに任せます。)
見た目だけで判断せず、こうした隠れコスト・実質コストの違いにも注目して投資判断を行うことが重要です。
この記事が、皆さまのお役に立てれば幸いです。