このサイトで少し人気の出てきた「書評」です。今回は、青山美智子さんの作品を紹介したいと思います。
愛の絵画をじっくり覧てみましょう。
物語は美術館にいるような
「エスキース」とは、絵の下書き(仕上げまではいっていない状態)のことを指します。
5人の登場人物が、それぞれの劣等感や弱さを打ち消そう(平気なように隠しながら)としながら、それぞれの生活をしていきます。
心を見透かされたくないけど、隠したいと思う自分の弱さを見守ってくれる人や理解している人には、安心感を得ることができますよね。
一期一会は、人とだけではなく、物や建物、本や音楽、夢や自分の思い、色々あります。
登場人物たちは、良き理解者と近づいたり、離れたり、間違いと思っていた決断が案外それぞれの人生をあらためて充実したものにしてくれる。
そんな状況を美術館にでもいるような感覚で、触れそうで触れない。優しく見守りながら覧ていきこととなります。
それぞれの人生と繋がって
今回の話は、一話一話で完結かと思われます。題目も5つに分かれており、そういう一話完結という展開が広がるのかと私自身思いました。
でも、青山美智子さんの作品を読んできたみなさんは、心の何処かでみんなある場所、ある点でつながって欲しいと思わずにはいられなくなるでしょう。
バラバラだと思っていたものが繋がると、ほっと胸をなでおろし、この書籍を読み終えるころには、ゆっくり美術館で絵画を覧ているように、物語が眼の前で自分に何かを訴えているように感じます。
ただただ、優しい気持ちになれます。
人生は一度限り
一度限りの人生だから、自分のしたいことややり残したことなどをささっとやってしまいそうになるが、一度限りだこそ、地面にじっくり足をつけて、後悔のない生き方が大事である。そう気付かされる書籍です。
「エスキース」とは絵の下書き(仕上げまではいっていない状態)のこと。人生は何度でも手直しができることを示しています。
人生も何度でも振り返ったり、過不足が有れば補ったり、削ったり、やり直すこともできます。
今を生きる。今の自分を好きになる。自分の理解者や近くにいる人との距離感や思いやり、考え方、生き方を感じ取れる。
私はこの本で今の自分が好きになることが大事と気付かされました。
みなさんも、そんな当たり前だけど病気や別離などを経験しなければ知り得なかった何かを見つけていく書籍になるかも知れません。
人生は一度限り、ゆっくり足を地面につけて歩いていきましょう。