【高値圏から始めての利益が出る】“過去最高値”で買うのはむしろ合理的——データで検証

目次

はじめに

「株価が高値を更新しているときに買うなんて、もう遅いのでは?」

直感はそう囁きます。
でも歴史データは真逆の事実を示します。
過去最高値(ATH:All-Time High)で投資を始めたほうが、その後のリターンがむしろ良かったという分析は国内外に複数あります。
ここでは、その“逆説”を実データで確認し、個人投資家の実践につなげます。


この記事でわかること

  • 「高値更新=危険」という思い込みが間違いな理由
  • 過去最高値ATHで始めた投資のほうが1〜5年後の成績が良かったという複数の統計
  • 「安い時にまとめて買う」より、**高値を含め“常に買い続ける”**が最適解
  • 実務:自動積立・リバランス・現金クッションの具体手順

データ①:過去最高値=ATHで買った方が平均リターンが高いケース

A wealth of common sense より

米人気投資ブログA Wealth of Common Senseの最新検証(S&P500、数十年スパン)では、
過去最高値の日に投資した方が、その他すべての日に投資した場合よりも、1年・3年・5年の平均成績が良かった
と結論づけています。
高値は“危険信号”ではなく、強いトレンドの継続サインになりやすいというわけです。
A Wealth of Common Sense

同サイトの別分析では、
1988年以降に「任意の任意日」で投資した1年後の平均リターンが約12%に対し、「過去最高値=ATHで投資」した場合は約15%と、むしろ高値の方が良かった
という結果も示されています。
感情はブレーキを踏ませますが、数字はアクセルが正しいのです。
A Wealth of Common Sense


データ②:運用会社の長期統計でも「高値=平常運転」

ファクタ投資で著名なDimensional Fund Advisors(DFA)は、
「市場が高値をつけても、その後の1・3・5年リターンは“平常時”と大差ない
と繰り返し強調します。
高値だからといって“すぐ落ちる”根拠は統計上乏しい、という立場です。dimensional.com

また、AllianceBernsteinの最新分析(1980年以降・1万1,000超の取引日)でも、
過去最高値=ATHで投資した後1年の平均は+10.5%(勝率78%)3年では+36.7%
と、
任意日に投資した場合と同等〜やや良好
でした。
「高値=危険」という先入観は、歴史データに裏付けられていません
Business Insider

補足として、RBC Global Asset Managementは1950年以降のS&P500について、
過去最高値=ATHから“1年後に10%以上下がって終わる”ケースは9%に過ぎず
10年後の時点で
過去最高値=ATH起点から“10%以上下落で終わる”事例はゼロ
と整理しています(いずれも“期末ベースでの判定”)。
長期の“時間分散”が効いてくるからです。rbcgam.com


なぜ「高値で買っても良い」のか——3つの論点

  1. トレンド継続(モメンタム)
    過去に上がった資産が中期的に上がり続ける“モメンタム効果”は、学術的にも頑健な現象。
    高値更新=上昇トレンドが明確というシグナルであり、悲観より合理性が勝ちます。
    Alpha Architect
  2. 実体(利益成長)が背景
    株価の持続的な高値は、多くの場合企業収益の拡大が下支え。
    利益は急に止まらず、緩やかに伸びて鈍化することが多いため、ATH直後の平均リターンが崩れにくいのです。
    Business Insider
  3. “待つコスト”が大きい
    「下がったら買う」と待っている間、市場はより高値へ
    結局入れずに機会損失、あるいは“落ちるナイフ”に触れる矛盾に陥ります。
    大手各社の統計でも、市場から離れていた短期間が長期成果を大きく損なうことが繰り返し示されています。
    privatebank.jpmorgan.com

実務:個人投資家がやるべき“型”

  • 新NISA×インデックス(全世界株/S&P500)を“自動積立”
    高値・安値を問わず、毎月同額で機械的に買う(ドルコスト平均)。トレンドの局面も、調整の局面も“まるごと”取得します。
  • 年1回だけ“決め打ち”リバランス
    株80:債20など目標配分に同月同日で戻す。相場観を挟まない。
  • 現金クッション(生活費3〜6か月)を別口座で
    暴落時に売らされない“環境設計”が、継続の最大装置。

よくある質問(Q&A)

Q. いま史上高値圏。やっぱり怖い…
A. 「怖い」は正常な感情。
ただしデータは過去最高値=ATH後の成績が悪いとは言っていないどころか、むしろ良好だった期間も多い
少額から自動で始めると心理的負担が小さく、継続しやすい。
A Wealth of Common Sense

Q. “下がったら買う”のはダメ?
A. ダメではありませんが、待機の機会損失が積み上がりがち。
統計的にも“市場に居続ける時間”がリターンを左右します。
privatebank.jpmorgan.com

Q. まとまった資金は一括?分割?
A. 期待値は一括がやや有利という研究が多いものの、途中で方針を変えてしまう心理リスクを考えると、分割(DCA)で“続けられる”設計のほうが最終成果は良くなりやすいです。
whitecoatinvestor.com


まとめ:「高値は“危険信号”ではなく“継続サイン”」

  • 過去最高値=ATHで投資した方が1〜5年の平均成績が良かったという複数の検証。
    A Wealth of Common Sense
  • 大手運用会社の長期統計でも、過去最高値=ATH後のリターンは平常時と大差なし
    ディメンショナル+1
  • “待つコスト”>“高値で始める心理的不安”。居続ける・買い続けるが勝ち筋。privatebank.jpmorgan.com

高値だからこそ、ルール通りに買い続ける
それが長期投資の王道です。


次のアクション

※本記事は一般的情報の提供です。投資は価格変動等のリスクを伴います。各商品の目論見書・交付書面、手数料等をご確認ください。

このシリーズは、

  • 「貯金が腐る」=危機感
  • 「イナズマを逃すな」=原則
  • 「高値圏でも買え」=安心感

という感情トリガー3段構成で投資を最適化しています。

あわせて読みたい
【貯金しているとお金は腐っていく】インフレに負けない資産形成の考え方 はじめに 「将来のために、とりあえず貯金しておこう」多くの人がこう考えます。もちろん、生活防衛資金や緊急時の備えとして貯金は大切です。 しかし──「貯金だけ」で...
あわせて読みたい
【イナズマの輝く瞬間を逃すな】“その数日”を外すだけでリターンは半分に──ホールドが最強である理由 最近、株価が最高値を連日更新し続けています。こういう時に「そろそろ一旦利確しようかな」と思う方がいると思います。 逆に、暴落時には、「一旦売って、最安値で買い...

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次