はじめに

「将来のために、とりあえず貯金しておこう」
多くの人がこう考えます。もちろん、生活防衛資金や緊急時の備えとして貯金は大切です。
しかし──「貯金だけ」では資産は確実に目減りしていくことをご存知でしょうか?
その原因は「インフレ(物価上昇)」です。
この記事では、なぜ現金は「腐っていく」のか、その仕組みを分かりやすく解説し、どうすれば資産を守り増やせるのかを具体的に紹介します。
なぜ「お金は腐る」のか?インフレの仕組み

インフレとは
インフレ(inflation)は、モノやサービスの値段が上がり、お金の価値が下がる現象のことです。
- 昔:缶ジュース → 100円
- 今:缶ジュース → 160円
同じ100円でも買える量が減った。これが「お金が目減りした」状態です。
日本のインフレ率の現実
日本は長らくデフレが続いてきましたが、ここ数年は年2〜3%のインフレが進んでいます。
つまり、100万円を銀行に眠らせておくと、1年後には実質97〜98万円分の価値しかないということです。
対して、世界の株式の平均リターンは7%です。
(もちろん、マイナスになる年もありますが、15年以上かけると平均7%に落ち着きます。)
グラフにすると、こんな感じです。

ステップ1:まずは緊急資金だけ残す

「じゃあ貯金は意味ないの?」というと、そうではありません。
- 病気やケガで働けなくなった
- 車や家の修理費が突然必要になった
- 仕事を失って収入がゼロになった
こうした非常時に備える生活防衛資金(3〜6か月分の生活費)は必須です。
ただし、それ以上を銀行口座に寝かせるのは「腐らせている」のと同じ。
ステップ2:余剰資金は投資に回す

緊急資金を確保したら、残りはインフレに勝つ資産に移しましょう。
代表的なのは以下の3つ。
- 株式(インデックスファンド:S&P500、全世界株式)
- 不動産(REITなど)
- 金(長期的な価値保存手段)
特に株式は、長期的には年平均5〜7%で成長してきた実績があります。
インフレが2%でも、株式投資なら十分に上回るリターンが期待できるのです。
「投資=ギャンブル」と思われがちですが、私たちが指すのは“世界経済に少しずつ参加する”という意味です。
経済成長を味方につける、それがインフレに勝つ最もシンプルな方法です。
ステップ3:インフレに負ける「貯金脳」から抜け出す

多くの人は「お金は減らしたくない」という心理から、投資ではなく貯金を選びがちです。
しかし、これは逆効果。
- 貯金=名目は減らないが、実質は目減りする
- 投資=短期では増減するが、長期では資産を守り増やせる
👉 大事なのは「目先の数字」ではなく「実質価値」を見ることです。
実例シミュレーション

100万円を銀行預金に入れておく場合と、インデックス投資した場合を比較してみましょう。
- インフレ率:2%
- 株式リターン:年7%
銀行預金(利息ほぼゼロ)
- 10年後:100万円 → 実質82万円分の価値
投資(年7%で複利運用)
- 10年後:100万円 → 約196万円
👉 差は114万円。
これが「貯金しているとお金は腐っていく」という残酷な現実です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 投資は怖いです。損をしたくありません。
A1. 投資は短期では値動きがありますが、20年以上続ければ損をする確率は歴史的に極めて低いです。
Q2. 銀行預金は安全では?
A2. 元本は保証されていますが、インフレで価値は確実に下がります。安全ではなく「静かに損している」と考えましょう。
Q3. まず何から始めればいい?
A3. 楽天証券かSBI証券で新NISA口座を開設し、インデックス投資を自動積立するのがおすすめです。
次の記事で5分で完了する手順を紹介しています。


まとめ:貯金は必要、でも「貯金だけ」は危険
インフレでお金の価値が下がる時代こそ、「投資で資産を守る」行動が重要です。
貯金だけでは資産は減る──このシンプルな事実を理解することが、資産形成の第一歩です。
- 緊急資金(3〜6か月分)=貯金でOK
- それ以上は投資に回さないと、インフレで価値が下がる
- 「名目の金額」ではなく「実質の価値」で考える
- 銀行に眠らせるより、資産を働かせることが重要
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